外貨の方が金利が良いから外貨建て保険にしたほうが良いって聞いたから、外貨建て保険に入ろうかしら!
外貨建ての株とか投資信託ってリターンが大きいって聞くけど、本当に大丈夫なのかな…
今回は、外貨建ての金融商品や保険商品の購入を検討中の方向けの記事です。
この記事を読めば、株や保険などの外貨建て金融商品の特徴と、投資家として外貨建て金融商品をどう捉えるべきかがわかります。
外貨建て金融商品の例と特徴、投資家が外貨建て金融商品をどう考えたら良いか、を紹介していきます。
外貨建て金融商品の例
はじめに、今回想定する外貨建て金融商品を紹介します。
海外株式
外貨建て金融商品としていちばんにあがるのは、海外株式でしょう。海外の証券取引所で取り扱いされている株式のことです。
当たり前ですが、海外株式は、現地通貨で取引されています。
例えば、アメリカならニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック証券取引所(NASDAQ)では米国の株式がドルで取引されています。
あ、ナスダックってなんか聞いたことあるわ
生命保険
最近では、外貨建ての生命保険(養老保険)商品が増えています。
なぜ外貨建ての商品が増えているかと言うと、円の金利に比べて外貨の金利が高いからです。「金利の低い円で持っていても増えないので、金利の高い外貨で持ちましょう!」といううたい文句です。
「外貨建て投資」で一括りにするのは危険
外貨建ての金融商品投資について考えるときに、「外貨建て」と一括りに考えてしまうのは危険です。
どう考えるべきか説明します。
「投資対象」と「運用通貨」を切り分けて考える
外貨建ての金融資産と聞いたら、「投資対象はなにか」と「運用通貨はなにか」をそれぞれ切り分けて考えましょう。
投資対象について考えるときは、その商品の価値が増えるのはなぜかを考えます。
運用通貨について考えるときは、どの通貨で購入・受取と運用を行うかを考えます。
円で買って円で運用する商品があれば、ドルで買わなければいけない商品、円で買えるが実際の運用はドル(購入後に自動で外貨両替)という商品などさまざまです。
ドル建ては良いよ、という論調をときおり見かけますが、ドルで運用するような投資対象(例:米国の投資商品)だから良いのか、通貨がドルだから良いのか、よく理解しておく必要があります。
なぜ資産価値が変わるのかを見極める
投資対象の資産価値がなぜ増えるのかを見極めなければいけません。
例えば株式なら、お金を増やしてくれるのは経済活動です。養老保険でお金を増やしてくれるのは保険会社の運用利益ですし、生命保険でお金を増やしてくれるのは、「もしものこと」です。
通貨の金利も資産を増やす要因にはなってくれますが、期待するには少し増やし方が弱いです。
養老保険は「積み立てたお金が増えて返ってくる!」と宣伝していますが、自分自身で資産運用する場合に比べて利益がかなり少ないです。投資としては全くオススメできません。
経済活動に資産を預ければ資産が増えることが期待できます。長期で見れば、経済は必ず成長するため、本質的に資産価値を増やす(世の中を豊かにする)ことができます。
資産価値がどう変わるか予測できないもの、例えば為替取引などは、本質的に資産価値を増やせるわけではありません。一時的に資産価値が増えているように思えても、それは何かが豊かになったわけでなく通貨に偏りが生まれただけの、本質はゼロサムゲームです。
あなたの投資目的とあっているかが大切
「投資に踏み出す第一歩は『目的を決める』こと」の記事でも紹介したように、投資で大事なことは投資の目的をはっきりさせておくことです。
外貨建て商品の購入と運用を考えている人は、その目的と、商品が目的とあっているかを確認してみましょう。
運用して増やした資産をなにで使うか
資産運用して得られたお金を、何に使いたいですか?
貯めたお金を使う目的を、円建てにするか外貨建てにするかのひとつの判断材料にしましょう。
老後に日本で生活に使うお金を貯めたいなら、結局使うのは円ですから、円ベースで考えなくてはいけません。
というのも、ドルで貯めておいていざ円に両替するとなると、為替レートの影響で資金が目減りする可能性があるからです。
1ドル120円でドルに交換した資金が、その10年後に1ドル80円になっていたとしたら、円の価値は2/3になってしまいます。それを日本で使うなら、10年前と比べて2/3の資産で生活することになります。
得られたお金を使う通貨と運用する通貨が異なるとき、両替レートによって損をする恐れ(為替リスク)があることは忘れてはいけません。
リスクを取れるか
外貨建て商品には為替リスクがついてまわります。そのリスクが許容できないなら、外貨建て商品には手を出すべきではありません。
外国株式ですべて運用すれば良いという考えの人もいますが、それはその人の環境だからこそできることです。自分が為替リスクを取れるのかは自分で判断する必要があります。
投資対象の働きによって売買価格が変動するのか、為替によって売買価格が変動するのか、その見極めはできるようになりましょう。
外国株式が魅力的なのは、投資対象の経済成長に期待できるからであって、為替リスクは潜んでいます。
投資におけるリスクの考え方は、「投資リスクとの正しい付き合い方」の記事で紹介しています。リスクコントロールは投資に欠かせませんので、読んで理解しておいてください。
まとめ:将来「日本円」で生活することを忘れずに
外貨建て金融商品の例と特徴、投資家が外貨建て金融商品をどう考えたら良いか、を紹介しました。
最近は円の金利が低いため、預金するなら外貨で預金していた方が良いのは間違いありません。ただし、今持っている円資産を外貨に換えてまで運用すると、為替リスクの影響で結局は円資産が目減りする可能性を忘れてはいけません。
この先、ずっと日本で生活していくつもりなら、必要なのは「日本円」であることを忘れないでください。身の丈にあわない、他人の意見任せの投資は愚かの極みです。
ドル建て金融商品の特徴をしっかりと理解して、本当に自分のためになる投資で資産を築いていきましょう。
米国の経済に投資するという狙いで海外株式を運用するのは大いにアリです。わたしも実際に、米国経済のインデックス投資や、高配当株投資を行っています。